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め流動性が悪く、夏期には日射により温度成層が形成され、鉛直混合が阻害されるからとされている。
夏期8月の水温分布はどのようであろうか。Fig−3は、DOが測定されたときと同じ時期の水温の測定結果である。ただし図では深さ方向の変化に注目し、表層Tsと底層Tbの水温差を水深Dで除した水温勾配の分布をみたものである。停滞水域である神戸沖から泉南にかけての辺りから湾奥部側では高いが、注目されるのは湾奥部でない海域でも沿岸に近いと、点1のように高くなっていることである。
Fig−2と比べてみると、全体として相関のあることがわかる。Fig−4は水温勾配と底層DO濃度との関係をみたものである。DOは飽和濃度に対する%濃度で表示してある。みられるように水温勾配は底層D0に強く影響する。図の分布から水温勾配0.1℃につき約15%のDOの低下がみられる。城4)は大阪湾東部において夏期に表層、底層の水温差1℃につき約8.5%のDOの低下があると報告している。大阪湾東部の平均水深は約15mなので図の関係とほぼ一致する。したがって中村らの解析5)などでも指摘されているように、水温勾配が底層DOに大きな影響を持つといえる。

3 埋め立て地の周辺海域への影響

大阪湾全体で水温勾配と底層DO濃度との関係をみたが、埋め位て地造成の局所的な影響をみるために、六甲アイランド周辺の水温とD0などの測定を行った。神戸商船大字の実習船を利用し、水温、塩分はアレック電子会社製ポータブルCST計ACT20−Dを、DOは長島会社製DO計ND−10を用いて計測した。測定点はFig−5のようである。六甲アイランドは沖側に長い防波堤がある。
Fig−6は水温とDOの鉛直分布の測定結果の例である。水温をみると、防波堤内およびその近傍の測定点A〜Eでは、沖合のG点に比べて表層温度が高くなっており、かつ表層と底層の温度差もずっと大きい。これは防波堤内およびその近傍では、限られた水域で、しかも流動性が悪いため、太陽放射などによって温度成層が生じやすくなる一方、防波堤から沖に離れたところでは、広い海域で熱容量も大きく、かつ水平方向の移流効果もあって、温度成層が生じにくいためと考えられる。
下図のDOをみると、A〜Eでは表層で200%を超える過飽和になっており、著しく富栄養化が進んでいるのがわかる。そして水深方向に急激に低下し、底層では50%程度に落ちている。これに対して沖合のG点では全く違った分布を示し、深度が増してもそれほど低下せず、底層でも100%に近い。DOの鉛直分布をみると水温のそれとよく似ており、水温分布がDOに強く関係していることがわかる。
Fig−7は9月のDO分布である。9月には底層DO濃度はさらに低下しており、A〜Eでは貧酸素状態になっている。各測定点の分布を比べると、測定点Fは防波堤からかなり離れているが、分布は防波堤内側の測定点A〜Cやすく外側の測定点Eと似た分布をしている。これらに対して、測定点Gだけは異なった分布をしており、DOも水温も勾配は緩やかになっている。測定点Gの分布を外海のそれとみれば、防波堤ないし埋め立てによる海水流動の悪化の影響は少なくとも測定点Fまではおよんでいるとみれる。Fig−8は水温勾配と底層DO濃度の関係であるが、大阪湾でみられたFig−4と(同様の関係がみられる。したがって温度成層の形成が鉛直混合を阻害し、底層DOに強く影響していることがわかる。六甲アイランド周辺における温度成層の形成は明らかに埋め、立て地と防波堤造成による海水流動の悪化が原因とみれる。そしてその影響は埋め立て地からかなり離れたF点でもまだみられる。
以上のように、海水流動の変化は、海水交換やそれによるCOD拡散状況の変化という直接的影響と別に、エネルギー交換に影響して温度成層の形成を促進し、その結果底層への酸素供給を阻害するという間接的影響をもたらす。底層貧酸素状態の形成はよく知られているように物理的にも、生物学的にも海水浄化機能に大きな影響を及ぼす。その意味で、流況変化についてはCODの拡散への影響予測に止まっている現在の環境アセスメントは、決して十分とはいえず、一歩進めて流況変化が水温分布にどのような変化をもたらし、それがDO濃度にどう影響するのか、その点まで分析評価する必要があるといえよう。

4 大阪湾埋め立て開発の動向

41 大阪ベイエリアの開発動向 以前から続けられてきている大阪湾開発は、大阪湾ベイエリア開発法の制定を受けて一層多様な形で進められようとしている。さまざまなプロジェクトが提案されているが、それらをみると6)、大規模なプロジェクトは交通輸送施設が中心であり、その多くは埋め立て開発を基礎にしているから、ますます広大な埋め立てが必要とされる。
42 廃棄物と処理処分の動向 廃棄物は量的にも質的にも増え続けており、その処理処分はますます困難な問題になってきている。廃棄物法制は、従来排出された廃棄物をどう処理処分するか、という方針でつくられていたが、近年は廃棄物の発生をいかに抑えるか、という方針に転換されつつある。1995年制定された容器包装リサイクル法は事業者、公共団体、消費者が共同して、一般廃棄物の中で大きな部分を占める容器包装ゴミのリサイクルを促進し、それによってゴミの量を減らそうというもので、廃案物法制の新しい一歩とされている。
廃棄物法制では、廃棄物は産業廃棄物と撤廃案物に大別されている。産廃は排出事業者の責任で処理処分されることになっており、事業者は自ら、あるいは専門の処理処分業者に委託して、乾燥、化学処理、焼却、再利

 

 

 

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